柏の葉キャンパスには、思考力や判断力、表現力など、これからのこどもたちに必要となる“未来力”を育む「未来こどもがっこう」という学びの場があります。これまでの学校の枠を超え、大学や企業・団体、研究者、住民など街のみんなで協力してつくられ、年間を通して、幼児から高校生まで幅広い年代のお子さんが学べるカリキュラムが用意されています。
2月13日(土)にはUDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)で、クロマグロは海の中でどういった一生を送っているのかを学ぶカリキュラム「マグロはおもしろい」が開催されました。
今回の先生は、東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター准教授 北川貴士先生。最新の研究成果を踏まえ、クロマグロの生態について詳しく教えていただきました。
まずは、1億5千万円/222kgのマグロを寿司ネタにした場合、元をとるには一皿いくらにすれば良いか、ちょっと身近な話からスタート。
みんなお寿司は大好きなようで、冒頭から先生の話に興味深々です。
お寿司業界の仕組みをちょっと覚えた後は、いよいよクロマグロの生態について学んでいきます。
クロマグロの卵は直径1mm
最大3mの大きさまで成長するクロマグロ。もちろんその卵も大きいのだろうと思っていたところ、なんと卵の大きさは直径1mmとメダカの卵と変わらないサイズなのだそうです。クロマグロの成長度合いの大きさにみんな驚いていました。
カジキマグロはマグロじゃない!
その名前からマグロの仲間と思われているカジキマグロですが、実はマグロではなくカジキの仲間。本来は犬と猫ほど違う種類と言われています。なぜその名にマグロがついているのかというと、マグロとついていた方が美味しそうに思えてよく売れるからだとか。
マグロには水温よりも高い体温がある
水温よりも高い体温をもっているマグロ。高い体温を維持しているおかげで筋肉活動が活発となり、俊敏な動きが出来ると言われています。
ただ、稚魚のころは体温が低いため、産卵の際は暖かい南の海で行わなければいけないそうです。
太平洋を2カ月で渡る
マグロは1日に100kmの距離を泳ぎ、2カ月で太平洋を渡って九州からアメリカまで移動することができます。
(なぜアメリカまで行くのかは、まだ解明されていないそうです)
“マグロは止まったら死ぬ”は都市伝説だった!
マグロについて有名なのが「止まると死ぬ」という説。他の魚と違い自力でエラが動かせないため、海水を排出することができないマグロは、泳ぎ続けることで発生する水流を利用してエラから海水を排出し、体内に酸素を取り入れています。この呼吸法を元に「止まると死ぬ」という説が論じられるようになりました。
ですが、実際にマグロが止まって死んでしまったところを見た人はおらず、夜間になると速度を落とし休息してる姿も確認されているため、泳ぐのを止めてもすぐに死んでしまうということはないそうです。
本物のマグロを間近で観察
クロマグロの生態について学んだあと、隣の部屋に移動して東京大学大気海洋研究所、東京大学キャンパス内にあるお寿司屋さん「お魚倶楽部はま」さんご協力のもと、本物のマグロを観察します。
「歯は何本あるの?」「骨は何本あるの?」「なんで目がこんなに大きいの?」「おしりはどこ?」など、普段は切り身の状態でしか見たことのないマグロを間近で見て、子どもたちは大興奮。たくさんの質問が飛び交い、この日一番の盛り上がりを見せました。
中には、「一番珍しくて美味しいのはどこ?」という質問も。(これに関しては、お寿司やさんいわく目玉の周りだそうです)
45分間のカリキュラム終了後も、先ほど見たマグロに興奮が冷めやらない子どもたち。この日の感想を書いてもらったところ、「まぐろにベロがあった!」「背びれの動きが面白かった」「目が大きくて迫力があった!」などその日感じたこと、学んだことをそのまま言葉にしたり、イラストを描いたりと本当に楽しそうでした。
普段何気なく口にしている食材について詳しく知ることで、食卓での会話も広がっていきそうですね。そしてこれまで良く知っていると思っていたものでも、いつもと違う視点で見ることによって、とても興味深いものになるということを肌で感じることができたのではないでしょうか。
「未来こどもがっこう」
http://miraikodomogakko.com/
【「未来こどもがっこう」過去の記事はこちら】
・対話力、思考力、表現力を伸ばす“こどもの哲学”。「ヒーローってなんだ??」
https://www.oideyo-tx.com/article/994
・「失敗をおそれない」若き発明家たちから学ぶ
https://www.oideyo-tx.com/article/328
・はじめての“マイお味噌”づくりに夢中! 「元気のミソ~日本の調味料の不思議~」
https://www.oideyo-tx.com/article/1360
・ゲームは自分で作る方が楽しい! アイデアいっぱいのオリジナルすごろく完成
https://www.oideyo-tx.com/article/1478