柏の葉キャンパスには、思考力や判断力、表現力など、これからのこどもたちに必要となる“未来力”を育む「未来こどもがっこう」という学びの場があります。これまでの学校の枠を超え、大学や企業・団体、研究者、住民など街のみんなで協力してつくられ、年間を通して、幼児から高校生まで幅広い年代のお子さんが学べるカリキュラムが用意されています。11月15日(日)には、UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)で「ヒーローらしさ」とは何かを考えていく対話型ワークショップが開催されました。
今回の講師は東大、慶応大、東芸大の学生さん。まずは、全員スライドの前に集まって説明を聴きます。この日の対話のルールは3つだけ。
・ぬいぐるみをもらってから話す。
・他の人が傷つくようなことは言わない。
・他の人が話しているときは最後まで聴く。
テーマである新しいヒーローを見つけるためには、まずヒーローって何かをみんなで考えていきます。
ワークショップは、考えることや他の子どもと話すことが楽しくなる、ある“しかけ”を使って進められました。
「もやの装置」です。これは、子どものもやもや(=他の人の発言によって考え方が刺激され、うまく言えないけど違和感を感じる)を促進するもので、もやもやを感じたら、カラフルなピースをその意見が描かれた紙に置いていきます。もやもやさせる発言をしたり、もやもやしたりすることと、ピースを磁石でくっつける遊びが結びつくことで、考えたり話したりすることが楽しくなるというしかけなのだそう。
「未来こどもがっこう」は何度か参加しているというお子さんも多いようです。
4~5人ごとに4つのグループに分かれて自己紹介をした後、まずは自分の思うヒーローを紙に書いていて発表していきます。
人の意見を聞いてもやもやしたらピースを置きます。
「どういうところがヒーローだと思う?」→「強いから?」→「でも武器を持ってると怖い」→「悪いヒーローもいるかも!」→「地球を守るヒーローは宇宙の人から見たら悪者?」
このような感じで、ひとつの意見からどんどん広がっていきます。積極的にどんどん発言するお子さんもいれば、他の子の話をしっかり聴いて静かにピースを置いていくお子さんも。
ヒーローについて意見を出し合ったところで、いったん休憩。チョコレートとジュースをもらってパワーアップタイムです!
休憩の後は、ヒーローって何?から、「新しいヒーロー」についてさらに考えていきます。
話すときは人形を持って。
時間がきたところで、みんなで考えた新しいヒーロー像をグル―プごとに発表です。
「ヒーローは敵から見るとヒーローじゃないから、ヒーローはいなくてもいい」
「勇気があって、思いやりがあって、優しくて、人の命を自分の命よりも大切にする人」
「頑張る人。自信や志のある人。武器(頭がいいとか優しいといかも武器)を持っている人」
「わからないことを教えてくれる人」「いや自分の力で考える人のほうがいいんじゃない?」と違う意見が出て、決められなかったといチームも。
正解のないものだからこそ、たくさんのヒーロー像が出てきました。「ヒーローはいなくてもいい」なんていう自由な発想も、もやもやからみんなで意見を出し合ったからこその答えですね。
最後に感想を。
「自分で思ったことをどんどん言えて楽しかった」
「みんなで意見をまとめたり、違う意見を言い合うことで答えに近づけた」
「人の意見はそれぞれ違っていてもやもやしたけど、人のヒーローはいっぱいいるんだなと思った」
など書かれていました。
たくさん考えて話して楽しかったと、充実した様子で帰っていくお子さんもいれば、なんだかもやもやしてすっきりしないと、すぐれない表情のお子さんもいたのが印象的でした。
どうしてもやもやするのだろうと深く考えていく思考力。人の話に耳を傾ける対話力。自分の考えを言葉に出して伝える表現力。これからの子どもたちに必要となるのは、そんな「未来力」です。
お子さんが感じるもやもやを大事に、正解のないことについてあれこれ考えてみることを習慣にしていけるといいですね。
「未来こどもがっこう」
miraikodomogakko.com