緑が豊富な守谷では、みつばちの飼育・観察を通じて自然と触れ合い、環境や街づくりについて考える【守谷みつばち夢プロジェクト】という活動が行われています。
みつばちは農薬汚染されていない花からしか採蜜しません。そのため、一見養蜂に適していそうな豊富な農業地帯でも、作物を育てるために農薬を使用している場所での飼育は難しいそうです。つくばエクスプレスで秋葉原から32分と都会に近い守谷ですが、みつばちの習性からも豊かな自然が残っている場所だということがわかります。
取材に伺ったこの日は、ラッキーなことに年に2〜3回しか行われないという採蜜の日。
守谷近隣にお住まいのプロジェクトメンバーの方が10名ほど集まり、みつばちのお世話と採蜜を行ないました。
みつばちのお世話をするときは、必ず刺されないための準備として長袖長ズボンを着用。そして網のついた帽子にゴム手袋でしっかりガードします。すぐそばでブンブン音を立ててみつばちが飛んでいたら逃げた方が良いとアドバイスをもらいちょっとドキドキ。いよいよ採蜜…の前に、まずは巣箱の点検からスタートです。
巣箱を開ける前に、燻煙器で煙を出しみつばちの動きを鎮めます(煙が苦手なみつばちは、これでおとなしくなるのだそうです)。
巣枠を一枚ずつ取り出して、女王蜂がいるか、みつばちたちの状態、巣の様子、ハチミツの量などを確認。
ひとつの巣箱に対して女王蜂は1匹のみ。巣箱のみつばちはすべて1匹の女王から誕生します。女王不在の巣箱は、新しいみつばちが誕生せず全滅してしまうので、その存在を確認するのはとても重要な作業です。
他のみつばちと比べると一回り大きく色も赤みがかっている女王蜂ですが、なかなか見つからずみんなで巣枠をチェック。何度も確認をして、ようやく女王様を発見することができました!
さらに点検を重ねる中、みつばちの数が激減してしまった巣箱を発見。
別の巣箱から巣枠ごと一部のみつばちをお引越しさせ、これで群れの数も増えて一安心かと思いきや、数時間後に悲劇が…。
新しく投入した群れが、なんと先住蜂を外敵とみなし攻撃。先住蜂たちは全滅し、巣箱は新しい蜂たちに乗っ取られていました。わずかな間に乗っ取られた巣箱の前には先住蜂たちの死骸が…。みつばち社会もなかなか大変です。
同種同士で殺し合いが繰り広げられた後はみつばちの天敵、オオスズメバチが襲来。
みつばちと比べ、何倍も大きく恐ろしい見た目のオオスズメバチですが、プロジェクトメンバーの方が慣れた手つきであっという間に捕獲。お酒が入った瓶にいれスズメバチ酒にします。栄養満点で体にいいそうですが、飲むのには勇気のいるビジュアルですね。
一通り巣箱をチェックしたら、いよいよ採蜜。
巣枠にはこれまでみつばちがコツコツ集めた蜜がたっぷりとたまっています。白いフタは蜜が完熟状態の証拠。
大きめのトレイの上に巣枠を置き、ナイフでフタをカット。切り込みを入れた瞬間、巣からジュワ~っと蜜があふれてきます。
トレイの中に垂れてきたハチミツを一口なめてみたのですが、今まで食べてきたハチミツは何だったの? と思ってしまう衝撃のおいしさ。香り豊かでとても甘いのに後味さっぱりのハチミツは、いつまでも舐めていたくなるほど。採取したハチミツは、季節とともに蜜を採る花が違うため色や味、香りも変わるのだとか。
このハチミツを買って帰りたいと思い「どこで手に入るんですか?」と伺ったのですが、残念ながら非売品とのこと。ここで採れたハチミツは、すべて【守谷みつばち夢プロジェクト】に参加している方たちだけが手に入れることができる幻のハチミツなのだそうです。
フタをカットした巣枠は遠心分離機に投入。しばらく回し続けると蛇口部分からハチミツが出てきます。心分離機から絞り出しただけでは、巣のカスや花粉などいろんなものが混ざっているので、何度かろ過作業を行なうことで、おいしいハチミツが出来上がります。
採蜜の後は汚れた巣箱は熱湯で洗い、すべての作業が終了。
守谷みつばち夢プロジェクトに参加してみつばちの生態を知るにつれ、最初は怖いと感じた羽音やみつばちの群れでしたが、最後には一生懸命働く姿がとても可愛らしく思えるように。長い期間参加されている人は、羽音を聞いているだけで癒されるのだそうですよ。
プロジェクトに参加すると、おいしいハチミツを食べれるのも嬉しいポイントですが、それ以外にも地域の方との交流を深めたり、街の環境問題についても考える機会にもなります。貴重なハチミツを食べてみたいという方はもちろん、みつばちにご興味がある方や、地域社会との交流、環境について目を向けたいという方は、ぜひ守谷みつばち夢プロジェクトに参加してみてはいかがでしょうか。
守谷みつばち夢プロジェクトの活動日はお天気とみつばち次第ですが、基本的には週末に行なっています。
プロジェクトの活動に参加ご希望の方は、下記の✉アドレスにご連絡ください。
moriya328@isdesign.co.jp